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【父の日企画】自身初の父の日に父親をインタビュー

今日は父の日。私が父となって初めての父の日です。息子がまだ赤ん坊ということで、父の日と言われても「感謝されてるのかな〜」とか正直あまり実感はありません。しかし、親になって初めて気づいたことがあります。 子育てって親も育ててくれるんだ、と。 子育と言うものは予想外のことが起こるのが当たり前なので、色々な出来事に臨機応変することが必要です。例えば、裸で子供をプールで遊ばせていたらウンチをし始めた。まさか、自分の子供のウンチを素手で掴むとは思ってませんでしたが、裸で入れた親が悪かったですね。とりあえず一人用のプールで良かった。 お昼寝を一緒にしようとしたが、喚くばかり。自分も疲れていたので少し休めるかなと思ったらもっとストレスが溜まることもしょっちゅうです。でもまだ育休中の妻は、毎日何時間も当たり前のようにこのような対応をしているのかと思うと彼女に対しての感謝の気持ちでいっぱいになります。あと少しこんなことでストレスが溜まっている自分が情けなく思ってきます。 そこでよく疑問に思うのです。 他の親ってどうやって子育てしているんだろう? 父親としてのロールモデルは何人か頭に思い浮かびますが、一番身近である自分の父親に彼が初めて親になったときのことを聞いてみました。 Q. いつ父親になったのですか? A. 32歳の時に父親になるとわかった時から。 Q. 何が一番変わった? A. 責任感じゃないの。やっぱり子供一人育て上げなきゃという責任感が生活の中に、一つ一つこだわりを持って生きていくことにつながったんじゃないかな。例えば、あの時ヨットやってたんだけどレース中、風がだんだん強くなってリタイアして岸に帰る途中遭難しかけた。でも「ここでは死ぬことはできない。家族を養っていかなければならないから」とそのときの自分のポジションをシビアに見直して、大きなリスクは取らないことにした。 Q. じゃあヨットはそのときキッパリやめたの? A. いや、辞めてないけど危険なことはしないと決めた。 Q. 父親になった時、自分が想像していたものと実際に感じたことに違いはありましたか? A. やっぱり生まれる前に色々な育児の本を読んだり、先輩からアドバイスをもらったりしたけど、実際に生まれてきたらほとんど役に立たなかった。だから、1から自分たちで経験して学んでいく形になったかな。 Q. 当時は男性が育休を取ることはもっと珍しかったと思うけど、考えましたか? A. 自営だったから取れなかった。 Q. 父親になって一番良かったと思ったことはなんですか? A. 一番最初に勤めていた会社の社長が言った言葉がある。「松尾君、君はどう思ってるか分からないけど子供っていうのは少なくても君たちが生きたという証だよ。だからどんな無名の人でも地球上に生きた証が子供として残るから、人生としてある程度の重さがあるんじゃないかな。」その時は貧乏だったから、子供は作れないじゃないかなと思ってたけど、この一言を聞いてからやっぱり自分たちがどうやって生きていきたいのかというのは子供がいることによって変わるかもしれないし、色々と教わることになると思って意識が変わった。 Q. 親歴40年近くになりますが、振り返って見てもう一度やることがあったらこういう風にするっていうことはありますか? A. 過去は戻ることができないから、もしっていうのはありえない。たしかにあの時、ああすれば良かったということはあったかもしれない。それが学びで次に活かせば良いと思う。むしろ今とこれからをより良くするためにどうしたら良いのかを考える方がベター。 Q. 一人目が生まれて4年経って、二人目が生まれたらこうしようって思ったことは? A. 実は僕は子供は一人で良いと思ってた。でも直子は一人の子育ての経験は一回しかないけど二人持つことによって違う経験ができるし、子供たちも良い関係ができるのではないかと言う考えがあり、説得力があって考えが変わった。実際二人いてまた違う経験ができたことは本当に良かった。子供は二人は必要だと改めて思った。 Q. じゃあ、母ちゃんに感謝しておかなきゃな。この世に存在できなかったかもしれない。(笑)父ちゃん、二人子供欲しいって思ってなかったんだ? A. 大変だったからさ。初めての経験だったし、誰からのサポートも得られなかったから、「もう一人増えたらどうやって生活して行こうか?」って思ったところもあった。でも逆にそれで奮発してもっと頑張って仕事して少しでも生活を豊にしようと思った。それによって知恵も出てきたし、行動も変わってきた。だから子供っていうのは生きる力を与えてくれるのかな。 Q. 経験のある父親として新米の父親にアドバイスは? A. 自分の子供は主観的に見てしまうけど、客観的に見て「これで良いのだろうか」ということをいつも考えることが必要。他人の子供の行動や言動を見みたり、よその人の子育ての仕方から学んでいくことも大切。その中で、「ここは我慢して鍛えた方がいいかもしれない」と子供の自立を深めるためにも親が我慢しなければいけないことはある。親である以上自分の行動も制限される 中で共有する時間を楽しむこと。 どんなに小さくても子供はやはり一人の人間で個性がある、ただ社会での経験が全くないから自己中になりやすい。親としてそこを主観的に見てしまう難しさがあるけど、絶えずそのような時、少し俯瞰した目で見て接した方が良いと思う。 それに親が思っている通りに子供は育たないから、いつも子供の目線で考えてあげることが大切。興味のあることを一緒にやって、自分が子供の 時どうだったかを考えて、その行動を理解してあげることがポイントかな。 ————————- 私は父とは距離も近く、今でも親子として良く話す関係だとは思っていましたが、こうやって改めてインタビューをしてみると意外と知らないこともありました。私は第二子なので、子供一人で十分と思っていた父からその思いを聞くと、その考え方を変えてくれた母親に感謝の気持ちしかありません。私が生まれてきて父も、やっぱり子供が二人いて良かったな、と思ってくれたことは正直嬉しいですね。 父の日に自分の父親と親になることに関して話したり、(まだ話せない)自分の子供と一緒にいることが一番のプレゼントだなと思った、父として初めて迎えた父の日でした。 あなたは父の日をどのように過ごされましたか?

男性の育休の9つのメリット

私が育休から仕事に復帰をしてから1ヶ月が経ちました。育休中も時間が経つのはこんなにも早いのか、と感じていましたが、仕事でも同様ですね。先月のブログでは男性育休について自分の体験談を書きましたが、今回は私のインスタグラムでも紹介した「男性の育休に関しての9つのメリット」を個人、企業そして社会レベルでの視点という形でまとめてみました。 個人 1. 産後の女性を苦しめる「産後うつ」への対策になる 産後うつは出産した女性の10人に1人が発症すると言われるほど身近な問題。産後1年未満に死亡した妊産婦の死因の第1位は自殺ということも明らかになっており、平均すると1週間に1人の母親が、乳児を残して自ら命を絶っています。産後うつは産後2週間をピークに発症することが多い為、その期間に男性が育休を取得し、妻を物理的にも精神的にも支えることは非常に重要。 2. 育休を取ることで子供との距離が縮まり幸福度が上がる 育児に時間をかける男性は一般的に幸せだと感じ心身ともに健康な生活を送ります。積水ハウスの「イクメン白書2020」によると、育休を取った男性が家事と育児に関して「幸せ」と感じる割合は80%で、取らなかった人の70%を上回って、さらに育休を1ヶ月以上取得した男性は91%と極めて高い比率となっています。 3 男性の育休は、子供を持つ女性の雇用と収入を増やす 男性、一人ひとりがしっかりと育児休暇を取れば、それだけ子供を持つ女性が仕事をする機会を増やすことにつながります。その結果、世帯収入も増やすことができます。つまり今までの1+0=1という子持ちのカップルの働き方よりも、ワークライフを重視した共働きの0.75+0.75=1.5の方世帯収入も増えるということです。 企業 4. 社内イノベーションを生み出すきっかけにもなる 男性が育児休暇を取得し、子育てという経験を積むことで、多様な視点を醸成することになります。この多様な視点こそ社内におけるイノベーションを生み出します。 5. 優秀な若手人材の獲得が可能 日本の男性新入社員の80%が「子供が生まれた時には、育休を取得したい」と希望し、女子学生の90%が、「将来のパートナーに育休を取得してほしい」と望んでいます。企業が積極的により良い育児休暇システムを提供しているところほど優秀な人材が集まり、企業実績も上がる。そして、男性育休の取得率が高くなります。このサイクルがうまく機能している企業ほど就活においても「最も働きたい会社」として認知され、より優秀な人材を確保できます。 6. 生産性の向上 育休をきっかけに、家庭にコミットしようという意識が高まればやるべき仕事は時間内で成果を出す努力をし、時間あたりの生産性は向上し不要な残業は減少します。 社会 7. 日本の少子化改善への突破口 現在日本が抱える最も大きな社会課題は「少子化」。世界の人口は増え続けているのみかかわらず、日本の人口は減り続けています。日本は「1.26ショック」と言われた出生率の底時(2005年)から、ずっと低迷を続けていて、政府は「希望出生率1.8の実現」を2025年までの目標に掲げています。しかし人口を維持することができる出生率は2.07と言われており、この数値に達しない限り、日本の人口は減り続けていくとのこと。男性の家事・育児時間が長いほど、第二子の出産率が上がり、「男性の家庭進出」が進むほど、出生率が増加します。男性の育休は、「男性の家庭進出」をつくるきっかけになるのです。 ちなみに2020年の先進国における子供の幸福度ランキングではオランダが「世界で一番子供が幸せな国」でトップに立ちました。出生率を最低時の1.46から30年かけて1.7にしたという制度の改善が大きな要因とされています。 8. ジェンダー格差を埋めるカギ 男性の育休取得率が高い国は、ジェンダー格差が小さい。アイスランド、フィンランド、ノルウェーはGlobal Gender Gap Index Rankingでトップ3。男性育休取得率は75%以上となっています。その理由としてまず男性の育休取得率が高い国では、育休が取れるような社会制度が整っているということ。そして、それを実際に利用するという仕組みも工夫されています。例えばアイスランドでは、9ヶ月の育休が子持ちのカップルの間で認められているが、その全てを取得するために両親が3ヶ月ずつ取得しなければ残りの3ヶ月を取ることができません。このようなルールが育休制度に追加されたことによって、それまで30%程度にとどまっていた男性育休取得率が、現在では80%以上にもなっています。日本も素晴らしい育休制度の土台がありますが、男性の育休取得率は7%と低迷しています。これらの他国のように男性が育休を取りやすい仕組みを作ることが取得率の向上につながっていくと信じています。 9. 男性育休は皆が幸せになる社会への第一歩 ジェンダー格差が小さい国は世界のハッピネスランキングにも上位に入いります。先ほどのべたアイスランド、フィンランド、ノルウェーも「世界幸福度調査」のトップ5に入っています。男性育休率が高い国はジェンダー格差が小さい。ジェンダー格差が小さい国は国民の幸福度が高い、となるのでしょう。 企業は常に良い成績を上げ、社会に認められ、それを継続できることを望んでいます。そこには優秀な人材が必要でそれを実践するには優れた育休システムの完備が必要であることを気がつくべきである。政府と企業が率先してその改革に踏み出すことが「皆が幸せになる社会」を構築できる第一歩となるでしょう。 男性育休に関してのポストはここで一区切りつけたいと思います。「もっと知りたい!」という方には、この一冊をお勧めします。是非読んでみてください。 男性の育休 家族・企業・経済はこう変わる 著者・小室淑恵 天野妙

7ヶ月間の育休で学んだ7つのこと

今年も4分の1が経ちました。昨日が7ヶ月に渡る私の育児休暇の最終日となり、今日から本来の仕事に復帰します。 2020年8月末からあっという間に7ヶ月が経ちました。そしてこの7ヶ月間で経験したこと、考えたこと、学んだこと、これらをまとめてみました。 1. 育休は休暇ではない 育児をされている方はご理解いただけると思いますが、はっきり言って子育ては休暇ではありません。夜中にも何度も起こされるし、赤ん坊が寝ている時以外は休息できないことが分かりました。事実、夫婦、二人だけの時はよく寝ることができていました。 正直、休暇どころか戦場に投げ出された感がありました。子育ては想像するよりもはるかに大変な作業で休暇を取ってまでもやらなければならない、そして女性一人ではとてもできないものだと分かったからです。 男性の育休取得が進まない背景として、「社会や職場の雰囲気や仕事上の責任と言った理由から、男性職員が自分から育休を申請しない、または申請できない状況にある」と政治家達も指摘しています。本来、子育てという人生の中での大変貴重な期間なのに、「休暇」という文字があることで休んでいるような印象を与えています。 私の育休中は妻の方が私よりも子と接する時間が多くなっているのも事実です。「やはり母乳を必要とする赤ん坊は生きるためには母親が父親よりも必要」と自分なりに解釈しながら、私は率先して家事に専念することに集中しました。 2. 母親の強さを知った 今まで私の妻、パートナーとしてしか知らなかった人が母親として変化していく姿は強い感動を覚えるものです。全てのプライオリティーは生まれたばかりの命を守り、大切に育てていくこと。それをしっかり理解をして常に自分のやりたいことを犠牲にしてまで子供のニーズを満たす母親としてのパートナーを見て「自分の中にはまだ自己中心的な考えがある」と気がついたのです。 私も親となり、自分の中でのプライオリティーが大きく変わりました。自分を必要とする小さな命を授かったことで自分の人生に対する考え方が変わったからです。 3. 子供の成長はあっという間 「子供はあっという間に育っちゃうよ」と先輩ママパパから言われてきましたが、本当です。ついこの間、生まれてきて四六時中寝ていた赤ちゃんが今となっては離乳食を自分の手で食べるようになりました。 初めて笑った瞬間や、初めて寝返りを打ったことなど一緒にいなければ見逃していた出来事も親として体験することができました。 4. 自分がいなくても仕事は回る 「7ヶ月も仕事から外れて大丈夫かな」と育休を取って間もない頃は思っていましたが、素晴らしいチームに恵まれていたこともあり、その心配は無用でした。早めに会社にも育休の申請をしていたので、仕事の引継ぎもスムーズに終えました。会社という組織は一人がいなくても仕事が回るように構成されています。逆にそうでなければ組織として成り立たないからです。 小さな会社では一人のウェイトが大きく長期の離脱は大変な痛手となり取得自体も難しいことも理解しています。そういった意味でも自分は恵まれている環境にあり、育休を取ること、取っている間も暖かくサポートしてくれた会社、そして仲間たちの存在に本当に感謝をしています。 5. 夫婦の絆が深まる 我々は夫婦で育休を一緒に取りました。普段仕事している時は一緒に時間を過ごすことは限られていましたが、この7ヶ月間は毎日一緒にいました。お互い気になるところを指摘したり、チームワークを深めるにはどうしたらいいのかなどコミュニケーションを深める機会が自然と増えました。親として、そしてライフパートナーとしての絆が深まりました。 6. 自分がしたいことのする時間があまりない 育休中は色々なことに取り組もうと思っていました。例えば、エクセルをもっと得意になろうとかいつも以上に読書をしたり、マラソントレーニングをしたり、自転車に乗ったり、好きなゴルフをして昔の感覚を取り戻そう、とか軽い気持ちで子供の出産を迎えましたが、正直、自分のしたいことはほとんどできませんでした。ただ、それだけやるべきことが多く家族でいる時間が貴重なことだと分かったことは一生の宝物になると信じています。家族で過ごすということは家族で共同作業をすることなのだ、と理解したからです。 7. 全ての親にオススメ もし育休を取る機会があるのであれば、是非取ることを強くお勧めします。特に日本は世界一とも言える育休制度が整っています。父母共に12ヶ月間まで国から給付金をもらって子育てに専念することが可能です。(詳しくはこちらのブログをご覧ください)2020年の日本で働く男性の育休取得率は7%でした。国は2030年までに男性の育休取得率を30%まで引き上げる目標を立てています。男性が育休を取ることが当たり前の社会になれば、「幸せな社会の実現」に大きく前進すると私は信じます。

世界一恵まれている日本の育休制度

私が育休を取得してから6ヶ月が経ち、今週、息子が6ヶ月の誕生日を迎えました。 この時期、日本で働いていて本当に良かったことを実感しています。 なぜなら日本の育休制度は世界で一番恵まれているからです。 多くの人はこの優れた制度のことを知らないのか、知っていても使えない現状があるのでしょうか。私の知る限り余り利用されていないからです。 日本の育休制度に関する3つのポイント 180日間、月給の67%に当たる金額が育児休業給付金として日本政府から支払われる。(但し、一定以上の月収がある場合は定められた限度額までを支給) 育児休業期間中は雇用保険などの社会保険が免除となる (このため実質的に受け取れる金額は毎月支給される給料の8〜9割となる。生活資金に大きな不安がなく育児に専念できる) 育児休暇は女性、男性共に12ヶ月間取得可能 かけ離れた実態  男性新入社員の80%が育休を取得したいと思っている  父親の育休取得率は2020年ではわずか7%の取得にとどまっている  日本政府は2030年までに男性育休取得率30%を目指している 私は日本の男性が普通に育休を取り、この制度を利用することで日本の企業を活性させる起爆剤になると信じます。それは、企業にとっても大きなメリットがあるからです。一つは休業中の保証は国が見てくれるからで企業の金銭的な負担はないからです。そして、育休制度を積極的に取り入れる企業は「人に優しい会社」として社会に認められ、将来親になる人たちにも選ばれるでしょう。そうなれば、企業イメージは高まり、当然企業収益に反映されるからです。 人口減少の解決も? その結果、日本経済に深刻な影響を与える人口減少問題の解決の突破口になると信じます。 なぜかと言いますと、夫が家事育児に時間をかければかけるほど第二子が以降が生まれてくる可能性が高くなるからです。 厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」によると、休日に夫が家事育児を6時間以上行う夫婦では、87%の割合で第二子以降が生まれてくるそうです。 つまり、夫がワークライフバランスを確保し、家事育児時間を十分に取ることができれば第二子以降が生まれる確率が高くなるのです。 今後の課題 しかし、実際次のような大きな課題が存在しそれを解決しなければ「人に優しい社会」の実現や「人口減少問題」の解決は難しいのです。 なぜ、多くの人がこの優れた制度を利用しないのでしょうか? どのくらいの人がこの制度のあることを知っているのでしょうか? どこにどうやって申請すれば良いのでしょうか? 80%の男性が育休を希望しているのに、なぜ取得率が7%にとどまっているのでしょうか? 国として2030年までに男性の育休取得率を30%まで引き上げたいのに、なぜこの制度の積極的な広報活動や企業側に指導を行わないのでしょうか? この制度を利用することには大切な意味があります。日本で働いている男性の皆さん、育休を取得したいと考えていたら、少し勇気を持って会社に交渉し実際に取ることをお薦めします。それがあなたがた自身の生活を豊かにし、「子育て」という親としての大切な役目を果たすことができるからです。 これからは、日本が抱える育休に関する課題を少しでも解決できるような活動をして行くつもりです。 (参考文献:小室淑恵、天野妙「男性の育休」)

学校では教わらなかった大切なこと

早いもので2月も終わり、待ちかねた春がもうそこまで来ています。 2月はジェンダーに関する大きなトピックがありましたね。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑とみられる発言が世界にも配信され、想像以上に大きな反響が起こりました。ジェンダー格差というものを日本では今までほとんど意識せず、事の重大さを知って初めて自覚した人も多かったのではないでしょうか。 ジェンダー格差のことは本来、学校で教えるべき大切なことなのに、どうして今日まで何もなく来てしまったのでしょうか。少なくとも、私が学生の時は学びませんでした。 では「誰がどのように、いつ、適切に教えたらよいのだろうか?」と言う課題が浮かび上がってきました。 実は先日、京都精華学園中学・高校の教員から依頼があり「ジェンダーの固定概念」についてオンラインセミナーを開催する機会をいただきました。そこで今回のメルマガはそのセミナーの内容の一部を書いてみたいと思います。 「男子」と「女子」って何だろう? まずはこの質問からはじめました。参加した生徒に「男子」や「女子」と聞いて何を思い浮かぶかを書いてもらいました。するとこの様な答えが返ってきました。 男子: 責任感がある スポーツができる 女子: 整理整頓が得意 家庭的 その後に、「ジェンダー平等」とは何でしょうか?と聞いたところ、教室は急に静かになりました。そもそもジェンダーって何だろう?と思った生徒も多かったと思います。 「学校では教わらなかった大切なこと」としてジェンダー教育について少し触れましたが、私はこれを性教育とは分けて考えるべきだと思っています。 ジェンダーとは「社会的、文化的に形成された性別」のことで、身体的な男女の違いではなく、社会の中の男女の差を意味します。日本ではこの「社会的性差」と「生物学的性差」を一緒に考えてしまう傾向にあり、社会が一般的に考える「男らしさ」や「女らしさ」は生まれ持ってきたものだ、と考えている人があまりにも多いことに驚きを感じています。 ジェンダーに対する固定概念に縛られず、ありのままの自分を表現できる社会が実現できたら、どれだけ心が解放され、より充実した人生を送れるだろうか?と生徒達に聞いてみたところ、「人のことを気にしたり、自分がどう見られているかを気にしがちですが、そのようなことは気にしなくても良いことが分かった」「自分の意見ばかりを主張するのではなく、様々な意見や思いを持った人がいることを認めることで社会は活性化していく」などのコメントを多くいただきました。 ジェンダーのことを学校で教えるべき、だろうか? ジェンダー教育は、他の教育と同じくらい学校で学ぶべき大切なことだと思います。最近ではテレビや新聞でもSDGsのことが大きく取り上げられています。ジェンダー平等もその中の一つですが、世界ジェンダーギャップ指数が日本は153カ国中121位と言う現状は真っ先に日本が取り組まなければならない課題の一つだと考えます。私は「学校では教わらなかった大切なこと」がまだまだあると思います。子供たちが小さい時からジェンダー教育を含め、それらを学校で教え始めれば家庭でもこの様な会話が形でごく自然な形で始まることを期待しています。 ジェンダーに関して私は博士号レベルの知識を持っているわけではありませんし教師の資格はありませんが、一人の親としても、できる限りこの大切なことを自分の子供はもちろん次の世代に伝えていきます。あなたも、ジェンダーの話をもっと周りの人としていきませんか。

日本人男性の体験談:フェミニズムは女性を解放し、男性を自由にし、人類を高める

(blossom the mediaのゲストポストから引用) まずはじめに、いくつかのことを言わせていただきたい。 私はマスキュリニティ、いわゆる男性性の博士号を持っていない。ジェンダー論の学位も持っていない。 私にあるのは、ある物語。 私は自分の名字を妻の姓に変えた。 2017年に妻と私が結婚したとき、私たちは姓を組み合わせることにした。 彼女の出身地である米国では、名前の変更プロセスは簡単だった。 しかし、それは日本では決して単純なことではなかった。 日本では、夫婦が姓を組み合わせたり、名前を変えたりすることは許可されていない。そこで、私は家庭裁判所に 行き、私の要求の承認を求めた。 裁判官は、妻の新しい姓である松尾ポストを採用することを提案した。米国ではすでにこの名前に変更されていたためである。 それで本質的に、私は妻の姓になった。 それが私の人生を変えた。 私自身の名字を変えるまで、日本では夫婦別姓が認められていないことを知らなかった。このように妻の姓を名乗ることを許されたのは、彼女が外国人だからという理由のためだと、日本人同士の夫婦にはその選択肢がないことを知らなかった。日本人女性の94%が結婚後、夫の名字に変えている事実を知らなかった。 母国の不平等について考えることによって、世界中で起きている問題に目を向けるようになった。 同じ仕事をしているのに、なぜ男性は女性よりも多くの給料をもらっているのだろう? なぜ専業主夫よりも、専業主婦の方が圧倒的に多いのだろう? ジェンダーの平等を達成すれば、男性にとってどのような利点があるだろう? 男性として生まれてきた私にとって、このようなことについて考える必要は今までなかった。 固定概念に縛られた環境の中で育った私だが、名字を変えたことで、このような役割の現状や危険さについて考えざるを得なくなった。 まだやることはたくさんあると気づいた。 私の周りの女性のほとんどが結婚後、夫の名字を名乗った。その理由を知らずに、ただそうするべきなのだと私は思っていた。ジェンダーの固定概念を変えられない事実、私たちの住んでいる世界の現状だと思い込み、受け入れていた。 S&P500の全従業員の45%が女性だが、女性は上級管理職の約27%しか占めておらず、高額所得者の11%に過ぎない。男性がもっとお金を稼ぐのは当たり前だと思っていた。 私はいろんなことを問い始めた。 なぜ男子は学校の成績で伸び悩むのか? なぜ刑務所は男性で溢れかえっているのか? なぜ自殺が50歳以下の男性の死因第一位なのか? それは、男性が男らしさはこうあるべきだと教え込まれてきたからである。男は強くあれ、感情を表に出すな、我慢しろ、何が何でも勝者になれ、アグレッシブでいろ、金持ちになれ、そしてセックスを楽しめ。 名字を変えたことによって、女性の生きる世界を垣間見ることができた。私たちの文化が、手間のかかる名義変更手続きは女性がしてくれるだろうと期待していることを知り、やっと家父長制の社会で生きる意味を知った。それと同時に、男性優位であるはずの仕組みが、男性を籠の中に閉じ込めていることにも気づいた。 そう。家父長制は、男性も傷つけているのだ。 社会の言う「当たり前」の通りにする必要がないと気づいたとき、私は閉じ込められていた籠から脱出することができた。ジェンダーの平等を追求するなかで、自分の信じる道を生きる勇気を手に入れた。 私がどのようにして自分の信じる道を進んでいるのか。 妻が妊娠した時、私は育児休業を取ることを決意した。上司に相談を持ちかける際、とてつもなく緊張した。長期の休みを取りたかったからだ。どのくらいかというと、7ヶ月間だ。 幸いなことに、理解のある上司だったため、私の希望はすぐに承認された。実際のところ、日本は父親・母親共に、最大一年間の有給の育児休業が認められている。 驚くことに、日本生産性本部の調査によると、男性の新入社員の約8割が育児休業を取りたいと望んでいるが、2020年に実際に育児休業を取った父親は、たった7パーセントだった。それだけでなく、育児休業を取った7パーセントの男性のうち、75パーセントが二週間かそれ以下しか仕事を休んでいない。 2020年、日本の環境大臣、および元内閣総理大臣小泉純一郎の息子である小泉進次郎が、仕事中毒の父親たちに率先垂範して、二週間の育児休業を取ったことで話題になった。父親が子供の誕生のあとに仕事を休むことが珍しいこの国では、大きな出来事であった。 寛大な育児休業制度があるにも関わらず、日本の男性のほとんどが雇用主に要求を却下されることや将来の昇進のチャンスが減ることを恐れて、育児休業を申請すらしない。これらの先入観について知ってはいたが、それでも同じように思わずにはいられなかった。実際に自分が申請するまで、育児休業を取ることがどれほど簡単か知らなかった。 今、この記事を書いている時点で、7ヶ月間の育児休業を半分以上過ぎている。生まれたばかりの息子を毎日見られるのがどれほど嬉しいことか、言葉で言い表せない。私にとって、妻と子と過ごすこの貴重な時間は、どんなお金にも代えられない。 より多くの男性が育児休業を取れば、女性が仕事場で活躍する機会がもっと増えると信じている。女性リーダーがもっと増えれば、組織全体がより多様で包括的になる。 もっとたくさんの国が母親・父親のどちらも有給の育児休業を取れるような制度を整えるべきである。さらに重要なのは、男性が実際に長期的な育児休業を取るような文化を育むことである。それが普及しなければ、実現は難しいだろう。 私は、自分の持っている特権を利用して、世界のジェンダー不平等にまだ気づいていないかもしれない男性達に呼びかけることにしている。メリンダ・ゲイツの言うように、「女性の地位が向上すれば、人類全体が向上する。」そのためには、男性も女性と同じくらいジェンダーの平等を推進し、家父長制を取り壊すことに努めなければならない。 Translated by Yuko C. Shimomoto